企画会社CCCがこれまで手がけてきた企画の数々。
そんな一つひとつの企画の裏側に隠された「一人のアイデアがやがて事業へと成長するまでのストーリー」に光を当てお伝えする「#キカクノキッカケ」。
一昨年「#キカクノキッカケ」では、中高生から20代の若者世代と政治、社会を繋ぐソーシャルプロジェクト「学校総選挙プロジェクト」をご紹介しました。
今年、その学校総選挙と「洋服の青山」で知られる青山商事様から生まれた新しい企画「#きがえよう就活」プロジェクトが、本格始動します。今回は、学校総選挙の仕掛け人として前回記事に登場した石井さんと、チームの若きエース内藤さんのお二人のインタビューをお届けします!
- 今回のキカク人
- 新しい企画を生む企画「学校総選挙」から「#きがえよう就活」が生まれるまで。
- そうして生まれた企画、「#きがえよう就活」
- 「服装自由」「平服で」その言葉って裏があるんでしょう?
- CCCだから、できること
今回のキカク人
石井大樹さん
2013年中途入社。前職はマーケティングとPRを融合したベンチャー企業。現在はCCCマーケティング株式会社(以下、CCCMK)で新規事業開発と「学校総選挙」プロジェクト、マーケティングプランニングを兼任している。
プランニングで 人の期待を超えていく。 今よりも少し未来の ライフスタイル提案を。 - CCC inside
内藤亜弥さん
2018年新卒入社。スターバックス事業、蔦屋書店事業を経験したのち、昨年からCCCMKにて「学校総選挙」を担当している。
新しい企画を生む企画「学校総選挙」から「#きがえよう就活」が生まれるまで。
前回記事では、社内ビジネスコンテストをきっかけに「学校総選挙」が始まり、2020年10月から若者限定のオンライン投票を通じて、若い世代と政治・社会課題を結ぶ場として始動するまでのストーリーを伺いました。
新しい時代の風を、CCCのビジネスコンテストから。 - CCC inside
学校総選挙プロジェクトから、どのように今回の「#きがえよう就活」に繋がっていったのでしょうか?
内藤:「学校総選挙」への参加者は今では年間10万人を超えていて、直接対話を重ねた若者も400名以上います。対話の中で大学生からプライベートの相談を受けることもあって、その中で『就活中に企業から「服装自由」と言われたが本当に自由なのか、何を着たら良いのかを迷って困っている。』という相談がありました。そこで他の大学生にもヒアリングしたり、アンケート調査をしてみると、多くの就活生が同じ悩みを持っていることがわかりました。さらに調査を進めるうちに、就活生が困っているのは就活でスーツを着なければいけないことではなく、企業が「服装自由」と指定することで、「本当に自由なのか」「何を着てくるか試されているのでは」「オフィスカジュアルって何?」と悩んでしまうことだとわかりました。企業の考えがきちんと伝わらず、就活生が服装も評価要素に入るのではないか、企業側に何を求められているのかわからないと不安になっていること。つまり企業・学生間のコミュニケーションエラーの問題だったんです。これは解決すべき課題だと気づくと同時に、自分たちだけで解決するのは難しいとも思いました。そこで、『洋服の青山』の青山商事様にお声がけしました。
お声がけをした理由をより詳しく教えてください。
石井:お声がけしてみると、青山商事様もこの「服装自由」によって生じている学生の悩みを認識していて、解決の必要性を感じていました。「服装自由」で生じている問題を解決する「#きがえよう就活」と聞くと、就活の服装の自由を求める活動、脱リクルートスーツを目指す活動、と勘違いされるかもしれませんが「#きがえよう就活」の目的はそこではありません。この企画が目指すのは、面接時の服装に関する企業の考えや企業文化がきちんと学生に伝わる未来です。別に黒のリクルートスーツでも、Tシャツとジーンズで統一でもいい。ただ、服装規定の有無にかかわらず、その言葉の背景にある企業の考えを学生が勘繰ったり、悩む時間を無くしたい。ひいては、企業の考えがしっかりと学生に伝わるのが当たり前な就活の仕組みを作ることを目指しています。青山商事様と「#きがえよう就活」は一見、真逆に見えるかもしれませんが全然対極なんかじゃないんです。
プロジェクトが本格始動するまでの経緯を教えてください。
内藤:就活服について協議する中で、青山商事様は「スーツの青山」として認知が固定化していることへの課題感も持っていることを知りました。青山商事様は多くのビジネスウェアを扱っていて、リクルートスーツを初めとするスーツはその一部に過ぎません。就活だけでなく社会人のビジネスシーンにおける服装も多様化する中で、「スーツの青山」から「ビジネスウェアの青山」に認知を変えていく必要性を感じ、取り組みを進めていました。例えば、社内外と協力して既存の店舗スペースを利用したコワーキングスペースや、リモートワーカー向けウェアの開発など、お客様視点での課題解決を図る新しい施策を展開されていく中で、次に取り掛かろうとしていたのが就活生の「服装自由」の課題だったんです。我々がお声がけしたタイミングと両社が持っている課題感があまりにもぴったりだったので、一緒に頑張ろう!となって「#きがえよう就活」が本格始動することとなりました。
そうして生まれた企画、「#きがえよう就活」
就活時に企業側が提示する「服装自由」という表現によって、学生が服装選びに悩んでいる状況に注目。その原因は学生側と企業側のコミュニケーションエラーにあった。その解消を目指す、学生と複数企業による共創プロジェクト。「洋服の青山」主催、賛同企業にJT、CCCなどが名を連ねる。現在賛同企業や個人を募集中。
「服装自由」「平服で」その言葉って裏があるんでしょう?
お二人はそれぞれどんな思いで「#きがえよう就活」に取り組んでいるのですか。
内藤:私が就活生だった当時も企業によって服装規定が異なっていたので、スーツと私服をどちらも用意をして説明会や面接に参加していました。周りには、服装自由と言われたから私服で行ったのに、他の就活生は皆スーツで、面接終了後も後悔が残ったという人もいました。そんな状況で不採用通知が来たら、服装が原因だったんじゃないかと思ってしまいますよね。そして別の面接に行くときも服装規定の言葉に裏があるのでは、と勘繰ってしまい、さらに悩んでしまう。でも、その時間は本来、自分がやりたいことを考えたり、面接の練習をしたり、キャリアを誰かに相談したりと、将来の自分を考えるために使える時間なのではないでしょうか。なので、就活生の時間を「もっと自由に」することで、彼らがもっと純粋に自分の将来に向き合える時間が増えるよう、まずは服装に関する悩みを解消する「#きがえよう就活」に取り組んでいます。
石井:僕が学生だったのは随分前で、今の就活とは異なる状況だったけど、社会人になった今でも、服装規定についての悩みに共感できる瞬間は意外とあるんです。たとえば結婚式の2次会とか。よく「平服でお越しください」と招待状に書いてあります。平服の本来の定義は「ふだん着ている服」らしいけど、実際は礼服ほどフォーマルではないけれど普段着ほどカジュアルでもない服装で出席しますよね。同じ平服指定であっても、想像していたよりドレッシーな人ばかりのときもあるし、逆に少しかしこまった格好で行ったら周りは相当カジュアルな人ばかりで浮いてしまった、なんてことも。だから毎回「平服で」と書いてあっても色々調べたり、他出席する人に聞いたり悩んでしまう。だから、就活生が服装で悩む気持ちにすごく共感しました。それからもう一つ。この企画を通して、1企業が社会的課題に対しての考え方を一方的に発信するだけでなく、実際にアクションを起こして、他の企業も巻き込みつつ社会全体を変えていく実例を作ることを目標にしています。
CCCだから、できること
「#きがえよう就活」におけるCCCの役割とはなんでしょうか。
内藤:共同企画者であり、賛同企業でもあるCCCの役割は、学生と企業をつなぐことだと思っています。学校総選挙プロジェクトでは多くの学生の声を拾い上げること、また対話を通して学生ひとりひとりの気持ちや具体的な話も聞くことができる。一方で、私たち自身も学生を採用する立場の1企業ですから、企業側の視点も当事者として理解することができます。「#きがえよう就活」の焦点である学生・企業間のコミュニケーションエラーの解消には、双方がどれだけ互いのことを理解し、歩み寄ることができるのかが重要になります。そのために、両者の立場や考え、気持ちまでを理解し、それぞれに伝える、つなげることに尽力しています。
石井:「#きがえよう就活」は企業主催ではありますが、あくまでも主役は現在と未来の就活生。参加メンバーにも複数の学生がいます。だからこそ、学生との接点が多い学校総選挙が関わり、発信の場や方法、表現や有効な施策などについて意見することで、「本当に求められていること」を「本当に求めている人」に「一番有効な形で」届けることができるのではないかと思っています。たとえば、「#きがえよう就活」本格スタートのアクションとして、今月は公式Webサイトがオープンした他、就活生に人気のYouTubeチャンネル「しゅんダイアリー」にて、タイアップ動画が公開されています。これらを皮切りに、どんどん賛同企業を増やす取り組みを行う予定です。具体的には賛同企業を年内をめどに50~100社にまで増やしたい。そして、駅前や電車、街の立ち看板や新聞・ウェブ広告など、形はわかりませんが、賛同企業の連名でメッセージ広告を出したいですね。社会にどんどんメッセージを伝えて、もっとこの輪に参加する企業や個人を増やしていく、そして社会に浸透して、いつかは「服装で悩まない就活」が当たり前のこととして定着してほしいです。
最後に、「#きがえよう就活」をはじめとする「学校総選挙」の今後の展望をお願いします。
石井:「学校総選挙」が本格始動して1年と少し。すでに10万人を超える若者が参加してくれています。それでも僕たちだけではやれることに限界があります。最近、企業が若者の悩みに対して自分たちの姿勢や考え方をCMなどを通じて社会に向けて公表することが増えてきましたよね。ただ、これはあくまで第一歩。ここで終わってしまうのではなく、個人イシューを解決するには、社会を変えるためには、次は具体的なアクションを起こすことや周囲と社会を巻き込んでいくことが大事だと思うんです。今回の「#きがえよう就活」のように、「学校総選挙」で得た若者の声を、僕たち以外の企業と一緒に取り上げていく。そしてアクションしながら他の企業や個人を巻き込んでもっともっと輪を広げ、世の中を変えていく。そんな流れを「学校総選挙」から作り、浸透させていきたいですね。