CCCの「企画」「人」「働き方」を伝えるメディア

蔦屋書店とスターバックスが目指す、居心地の良い空間とは

企画会社CCCがこれまで手がけてきた企画の数々。

 

そんな一つひとつの企画の裏側に隠された「一人のアイデアがやがて事業へと成長するまでのストーリー」に光を当て、お伝えする「#キカクノキッカケ」。

 

今回は、「代官山 蔦屋書店」および「スターバックス コーヒー 代官山 蔦屋書店」に勤務する2名のインタビューをお届けします!

目次

今回登場する社員

CCCがつくる、「BOOK & CAFE」という企画

――CCCの企画のひとつに「BOOK & CAFE」がありますが、どのようにスタートしたのか教えていただけますか。おふたりが勤務する「代官山 蔦屋書店」も「BOOK & CAFE」のひとつですね。

本所:「BOOK & CAFE」の1号店は、2003年に東京・六本木ヒルズに出店した「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」(現「六本木 蔦屋書店」)です。2005年3月にスターバックス コーヒー ジャパンとライセンス契約を結び、新しい書店のスタイルとして誕生しました。書籍売場とカフェが併設しており、購入前の書籍や雑誌をカフェ席に持ち込んで自由にお試し読みできるのが特徴です。書籍売場内にもカフェ席が多数配置され、コーヒーを片手に本を選ぶことも可能です。

代官山 蔦屋書店」は、2011年12月にオープンしました。それまでの「TSUTAYA」は、20~30代の方がメインターゲットであり、コミックやゲーム、音楽CDや映画のDVDレンタルなどのエンタメコンテンツを中心に、若者にライフスタイルを提案するお店でした。しかし、日本の人口が変化していく中で50~60代のお客様をメインターゲットに、代官山という閑静な住宅街に、各ライフスタイルジャンルに精通した「コンシェルジュ」が本や雑貨、CD/DVDなど様々なアイテムを通してライフスタイル提案をする 「大人のための文化の牙城」をつくろうということで開業しました。

――「代官山 蔦屋書店」と「スターバックス コーヒー」が併設して開業し、共にあることで提供できる価値や相乗効果を感じることはありますか?

本所:代官山 蔦屋書店」ができた頃には、「BOOK & CAFE」という業態はお客様に既に認知されていました。 2003年に「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」から「BOOK & CAFE」の展開がはじまり、その後「TSUTAYA」とスターバックス コーヒーが併設している店舗のスタイルが広がりました。

 また、「蔦屋書店」では家で過ごすようにゆっくりと楽しんでもらう価値も提案しており、そのためにも本とコーヒーは無くてはならない存在だと思っています。

中島:「コーヒーが飲める本屋さん」というのはオープン当初はビックリする存在だったかと思います。今でもたまに、「購入前の本をコーヒーと共に楽しんで良いのか?」と質問をいただくこともあります。

代官山 蔦屋書店」は代官山駅から少し離れた場所にありますが、多くのお客様に足を運んでいただいています。それは、お店に「空間価値」を感じていただいているからなのではないかなと感じています。インスパイアされる空間の中で、コーヒー片手に本を選ぶことができる価値を提供できるのは、書店とカフェが併設して融合しているからこそですよね。

顧客価値を高めるために。

――店舗では、時々イベントやコラボレーション企画等を行われていると思うのですが、どのような企画を行っていますか? またいつ頃から始まったのでしょうか。
本所:「コーヒーセミナー」と言われる、スターバックス コーヒー主催のコーヒーの淹れ方等を学ぶイベントを、「蔦屋書店」のイベントスペースで行ったことがあります。「スターバックス コーヒー 代官山 蔦屋書店」でのイベントは、蔦屋書店側のイベントスペースを利用することが多いですね。
中島:「蔦屋書店」内のキッズスペースで、お子様向けのバリスタ体験イベントを行ったこともあります。キッズスペースの座席は低く、お子様に安全にご利用していただきやすい設計となっていますし、親子で遊びに来ていただいた方々に楽しんでいただけるイベントになったと思います。

代官山という土地で、企画を提案する。

――“顧客価値を上げること”として、代官山で実施した企画はありますか?

中島:「BOOK & CAFE」の価値を最大限発揮できるように、スターバックス コーヒーのバーカウンター前にスターバックスのタンブラー等に加えて、コーヒーに関する本や関連グッズ等を展開する平台をつくりました。

本所:夏祭りや蚤の市等のイベント時には、抽選会企画にスターバックスも参加したり、スターバックスのコーヒーをお配りするなど連携して企画を実現しました。

中島:「代官山T-SITE」という施設全体が大きいこともあり、大変な面もありますが、だからこそ全員で店舗全体に目を配り、助け合っていって顧客価値を上げていきたいですね。

工夫をこらした黒板アートも店内の見どころ

――今後の展望として、取り組んでいきたいことはありますか?

本所:もともと「Anjin」というカフェラウンジがあり、2022年12月には「代官山 蔦屋書店」内に「SHARE LOUNGE」が出店し、お客様は本と一緒に飲み物を楽しむ場所の選択肢が増えており、シーンや目的に応じて時間を過ごす場所を選んでいただけるようになっています。選択肢が増えたからこそ、それぞれの店舗や各事業に閉じず、「本とコーヒーを楽しんでいただく」という顧客価値を、より垣根なくお客様に提案できたらいいなと考えています。たとえば、「SHARE LOUNGE」でもスターバックス コーヒーで購入したコーヒーを楽しんでいただけますし、これからもお客様にとって、一番ご満足いただけるかたちを模索していきたいですね。

中島:DX(デジタルトランスフォーメーション)をさらに進めていきたいと考えています。
スターバックスにはMOP(Mobile Order & Pay)といって、スマートフォンで事前に注文・決済して商品を受け取りに来るシステムがあり、さらにUber Eats等のアプリで注文するデリバリーサービスでの注文が入ることもあります。
「スターバックス コーヒー代官山 蔦屋書店」では、そのようなデジタル媒体からの注文が、一番混み合う時間帯に約50%と高い比率となります。
ドリンクをお渡しするまでの待ち時間には蔦屋書店の強みでもある、待っている間に本を読んだり、商品を見たりと、より空間を楽しんでもらえるようなお店づくりをしていきたいと考えています。

また、来月からぜひやってみたいと考えているのが、MOPを使って注文いただいたお客様で愛犬を連れてお店の前までいらした方に、外までドリンクをデリバリーしてお渡しする企画です。
「スターバックス コーヒー代官山 蔦屋書店」の特徴として、愛犬を連れてご来店いただく方が本当に多いのです。散歩途中でドリンクを購入したいけれど、愛犬から目を離せない方などに、ぜひご利用いただけたらなと思います。

本所:MOPが始まった際、「これはまさに代官山 蔦屋書店にぴったりなサービスかも!」と当時の店長と話していました。
 「スターバックス コーヒー 代官山 蔦屋書店」は、特に休日など多くのお客様がお越しになります。そこに並ばずにドリンクを購入でき、提供の順番が来るまで書店で本を読んで待つことができるのは素晴らしいですよね。

館内にリーフレットをたくさん置いたり、テラス席にはモバイルオーダーのPOPを貼り付けたり、MOPが広がるような取り組みを蔦屋書店スタッフも一緒に行いました。

BOOK & CAFE事業でのキャリアパス

――BOOK & CAFEでの社員としての働き方や、キャリアパスの考え方をお聞きしたいです。
中島:CCCのBOOK & CAFE事業でのキャリアパスでいうと、スターバックス等のカフェ勤務から始まった場合には、店舗業務を通して時間帯責任者になり、アシスタントストアマネージャー、ストアマネージャー(店長)と経験を積んでいきます。その先の働き方としては、地区を統括するエリアマネージャーや、CCC本部で人事サポートやスターバックスの新店開発のサポートをする方などもいらっしゃいます。また、キャリアチェンジして、別の蔦屋書店の店舗でBOOK & CAFEの事業から離れて全く違うお仕事を担っている方もいます。

本所:最近は特にキャリア選択の幅が広がったと感じています。蔦屋書店などの店舗事業だけではなく、CCCMKホールディングスに移るなど、『Cチャレ』※1と呼ばれる社内公募を利用して自身のキャリアを自ら掴みにいく環境が整備されたと感じています。

スターバックスは体系的に店舗経営が学べるよう、マニュアルや研修プログラム、キャリアアップのプログラムがしっかりと準備されています。だから、そこで学んだスキルや経験は、TSUTAYAや蔦屋書店などの店舗業務でも活かせることが多いと思います。

※1:Cチャレとは、各部門からの募集要項を社内に掲示、そこへ社員が自由にエントリーできる制度(社内公募制度)です。

現在の職種・領域や年次を問わず、すべての募集ポジションについてエントリーすることができ、選考で合格すれば異動が実現し、新しい仕事にチャレンジすることができます。

――スターバックスの「ストアマネージャー」というポジションの、仕事の特徴を教えてください。

本所:スターバックスのストアマネージャーは、全パートナー(店舗スタッフ)と4ヶ月に1度面談をする、というのは特徴のひとつですね。代官山の場合は、約70人のパートナーと1時間ずつ、4ヶ月に1度面談を行っています。話を聞いて、向き合い、マネジメントするのが上手な方でないとできない仕事だなと思います。
中島:ストアマネージャーの一番大事な仕事は「社員育成」ですね。4ヵ月の面談も社員育成のためのひとつの業務です。もちろんそれだけでなく、業務の幅は広いのですが、やはりスターバックスでキャリアを積む強みは、お客様やパートナーと信頼関係を築くマインドセットや傾聴するコミュニケーション力が学べることだと思います。方法だけでなく考え方を伝えながら人を育成することや、マネジメントに興味がある方は、ぜひチャレンジしてみてください。

他にも、数字の見方や店長としての将来的なスキルが身に付くと思います。スターバックスは毎日、毎週、四半期等のTodoやスケジュールがかなり細かく設定されているので、そのスケジュールに合わせて動きつつ、新商品が出る際には販促企画を独自で考えて店頭の黒板で告知を行っています。与えられたことをそのままやるだけではなく、レギュレーションは守りながら売上を伸ばすために自分たちで工夫できる部分は楽しいですね。