CCCの「企画」「人」「働き方」を伝えるメディア

地域のコミュニティ・ハブを目指す。「Karuizawa Commongrounds」立ち上げの舞台裏

 

 

企画会社CCCがこれまで手がけてきた企画の数々。

そんな一つひとつの企画の裏側に隠された「一人のアイデアがやがて事業へと成長するまでのストーリー」に光を当て、お伝えする「#キカクノキッカケ」。

今回は、2023年3月に長野県軽井沢町にグランドオープンした、「Karuizawa Commongrounds」プロジェクト(以下、本PJ)に携わった2名のインタビューをお届けします!

「Karuizawa Commongrounds」は、森の中に、書店「軽井沢書店 中軽井沢店」をはじめ、カフェ、コワーキングスペースなどが点在する複合施設です。「軽井沢の森で、働く・学ぶ・遊ぶ・商う・住まう」をコンセプトに軽井沢に住む方々、この町に移住された方々、ここで働く方々・学ぶ方々の交流を育む地域のコミュニティ・ハブを目指しています。

今回の社員

松本 聡さん:1997年新卒入社。TSUTAYAの備品部門として西日本営業担当を3年間、その後店舗・店長など5年を経て、SV(スーパーバイザー)になる。関西・関東で9年を経て、当時の軽井沢PJに社内公募にエントリー。2017年「銀座 蔦屋書店」、2018年「軽井沢書店」の開業に携わりながら、2020年の第1期開業、及び2023年3月の第3期開業に至る。

土門 泰人さん:2007年中途入社。TSUTAYA直営店舗の店舗マネージャーを務めた後、2015年から「代官山 蔦屋書店」でフロア責任者、店長、館長を6年間務め、TSUTAYAのFC(フランチャイズ)加盟企業様が開業した「奈良 蔦屋書店」に1年間出向。2021年8月より本PJに参画し、事業プランニングを担当。

(左から)土門 泰人さん、松本 聡さん

 

過去の仕事から積み上げた信頼関係で、企画を作り上げる

――みなさんが、CCCに入社を決めたきっかけは何でしたか?また、入社してからどのようなご経歴を歩まれていますか?

土門:私は2007年に中途入社しました。入社前はFC加盟企業様の運営するTSUTAYA店舗でマネージャーをしていたのですが、その店舗をCCCの直営店舗にすることとなり、CCCに入社しました。入社後は東京エリアのTSUTAYA10~20店舗のマネージャーを務め、その後2015年頃に「代官山 蔦屋書店」に異動になり、フロア責任者から店長、館長まで6~7年経験しました。

その後、FC加盟企業様が新規出店された「奈良 蔦屋書店」の運営をサポートして欲しいとご依頼いただき、1年ほど奈良に出向し、東京に戻ってきたタイミングで本PJにジョインしました。PJでは「Karuizawa Commongrounds」の事業プランニングを担当し、現在は「Karuizawa Commongrounds」と、軽井沢駅近くにある「軽井沢書店」のマネジメントを担当しています。

松本:私は1997年に新卒で入社しました。私自身ユーザーとしてTSUTAYAをずっと使っていた中でCCCに興味を持ち、入社を決めました。
入社後はTSUTAYAのFC加盟企業様の備品担当営業として、西日本エリアを担当しながらも、店舗で働いた経験に基づいた提案が出来なかったので、店舗勤務を希望し異動。TSUTAYA発祥の地である枚方・寝屋川エリアでTSUTAYAの店長を務めた後、SVとして店舗を指導する仕事を担当しました。

時代と共に市況の変化もある中で、「代官山 蔦屋書店」のようなTSUTAYAとは違う業態への変革を加盟企業様に提案していかねばと想い、新規事業としての軽井沢PJへの公募に参画しました。PJでは、「Karuizawa Commongrounds」の館長および、「軽井沢書店 中軽井沢店」「軽井沢書店」の店長を務めています。

――今までの経験が、今回のPJで活きたと感じたことは、どんなことがありますか?

松本:そうですね。新卒でいきなり営業職になり、店舗のことを知らないままFC加盟企業様とやり取りをさせていただいたので、自身はお客様に育ててもらったという実感があります。
そういった方々と一緒に働かせていただく喜びを感じながら、与えていただいたものの対価をどのようにお返しすれば良いかを常に考えてきました。CCCでも掲げられる「約束と感謝」という言葉が自分の中で深く残っていて、こうした経験が全国の加盟店様に提案できる企画を作りたいというモチベーションに繋がっています。

土門:私は店舗勤務が長かったので、自分でコンテンツを探してお客様に提案することも多く、様々なアーティストやメーカーの方と一緒にコンテンツや商品を作ったりもしてきました。現場仕事の醍醐味の1つは、自分がやりたいと言ったものをその場で判断し、自分の責任の範疇で、すぐお客様との接点を変えることができることだと感じます。
お客様の反応も見られますし、作者の方にお客様の反応を直接伝えることができる。そういうことを繰り返していくうちに、店舗での経験、特に「代官山 蔦屋書店」での経験がとても大きかったと感じています。

代官山 蔦屋書店」ではいろんな方と仕事をさせていただき、たくさんのご縁が生まれました。本PJに参画し、「軽井沢の人たちに喜ばれるコンテンツを集めたい」と思った時、今までご縁のあった方々にお声がけしました。幸いに誰からも断られることもなく、「ぜひ一緒にやりましょう」と言っていただけました。

――今集まっているコンテンツは、過去一緒にお仕事をした人たちに、協力いただいて集めたものなのですね。

土門:そうですね。その結果、2023年3月にオープンした後、私たちの予想よりもかなり多くのお客様にもご来店いただいて、評判も上々です。これも、やっぱり人とのご縁。その時その時一つ一つの仕事を、相手にとって信頼していただけるように仕事をした成果だと思っています。
「この人と一緒だったら、やってみようか」と思っていただけるように、これからも信頼関係の構築を大切にしていきたいと思います。

本屋がなくなった町で、CCCができること

――今回の「Karuizawa Commongrounds」の企画の意図は何でしたか?
どういう流れで企画を進めていかれたのでしょうか?

松本:2015年に軽井沢町に本屋がなくなったということがきっかけの1つです。
文化遺産があり、皇族の関わりも深い街の中に、本という文化を途絶えさせてしまうことへの懸念がありました。そういった中でCCCとして単に書店を出店するだけではなく、軽井沢の方や町に関わる方と何をしていけばいいのだろうかと企画を考え始めました。文化的な観点や、CCCが今まで培ってきた知見を積み重ねて、地元の方と一緒に作っていこうと企画し、PJを進めてきました。2018年にオープンした「軽井沢書店」もその中の取り組みの一つです。

まず軽井沢のお客様や文化などを知るために、軽井沢の駅近くに「軽井沢書店」を作り、地元に住んでいる方からのニーズをヒアリングしたり、軽井沢で作家活動をしている方と話しながら店舗運営に関わっていただいたり、皆さんのニーズに答えながら店作りを模索してきました。

次のステップとして、軽井沢の街の人たちに喜んでもらうことを、軽井沢で活動されている人たちと一緒にどんどん作り上げていくようなコミュニティとしての施設を作ってみることになりました。それが「Karuizawa Commongrounds」です。

2023年3月にグランドオープンしたような表現になっていますが、実際は2020年に「EtonHouse International School Karuizawa(以下イートンハウス)」というインターナショナルプリスクールと双方向性オンライン塾がオープンし、その隣に我々のオフィス兼コワーキングスペースを作り、軽井沢の町に関わる方やコロナ禍で移住された方々にご利用いただき始めました。
その後、写真館やBBQキッチンなどに出店いただいたり、いろんな方々に集まっていただいて、「今度はこんなことができるのではないか?」と企画を進めてきたのが、「Karuizawa Commongrounds」という地域コミュニティになります。

働くだけではなく、そこで学んだり、ここに来れば誰か人と出会えたり、逆に一人でゆっくり過ごすこともできたり。目的を持たなくても1日ゆっくり過ごせる場所があります。
軽井沢でたくさんの方々が関わりを持てる。「コモングラウンズ」という名前にもその意味が込められています。

 

書店のコンセプトは「ライフタイムラーニング・生涯学習」

――「Karuizawa Commongrounds」は、どういった方をターゲットとして想定されていますか?

土門:軽井沢は、教育に対する街の取り組みが活性化しており、とても注目されています。具体的に言うと「軽井沢風越学園」や、「UWC ISAK JAPAN(United World College ISAK Japan)」、「Karuizawa Commongrounds」にも入っていただいている「イートンハウス」など多様なでユニークな方針を持つ教育施設に共感した子育て世代の方が、どんどん軽井沢に移住してきているのです。

メインターゲットとしては教育のため移住してきた30代後半から40代の方々です。お子さまが幼稚園や小学校に入学されていて、ご自身が東京にいなくてもビジネスが成り立つようなスキルをお持ちであったり、ビジネススキームを作っていたりするような方々です。MD(マーチャンダイズ)計画や店作りも、そうした感度の高いクリエイティブクラスの方々をイメージして進めましたが、オープン後は観光客の方にも足を運んでいただいており、さまざまなお客様がご利用されています。

――ターゲットの方々に対して、どのような企画を提案されていますか?

土門:書店のコンセプトを「ライフタイムラーニング・生涯学習」に、テーマに沿った選書を行っています。

どこにでもある本を並べるのではなくジャンルを絞り、「自然科学、建築、デザイン、アート、食、児童書」の6つのジャンルで選書をしているのが特徴です。

軽井沢では幼い頃からのバイリンガル教育が大切にされていて、このお店で用意している洋書の児童書は、「英語が母国語ではない国で、英語教育のために読み聞かせをされている洋書」をインターナショナルスクールの先生に選書していただき揃えています。単に「日本で売れている児童書」を揃えるのではなく、「バイリンガル教育のために良い洋書の児童書」というカテゴリーを作っています。

また、コワーキングスペースも運営をしておりますが、「Karuizawa Commongrounds」がコミュニティ・ハブとして様々な人がつながり、企画の起点となる場所にするため、仕事や打ち合わせ等をできるような環境づくり・雰囲気づくりをしています。



開業後に実感した、軽井沢というエリア

――3月にオープンされてから、オープン前の想定と違った出来事はありますか?

土門:本当に“良いもの”がよく売れています。想定以上に高価格帯の商品が売れますね。
「Karuizawa Commongrounds」では、店舗の前にウッドデッキがあります。デッキの前には紅葉する木々があり、すごく気持ちが良い場所です。たまたま「奈良 蔦屋書店」に出張に行った際に、Nychair X(ニーチェアエックス)という椅子を取り扱っている企業様と出会いました。実際に椅子を見てみると、「Karuizawa Commongrounds」に置いたらすごく良いのではないかと思い、まだオープン前の店舗の構想をプレゼンし、協賛として椅子を貸していただくことが決まりました。

当初、その椅子は販売するつもりはなかったのですが、商品自体が良いことはもちろん、気持ちの良いロケーションで座ると、その椅子を自身の別荘にも置きたくなった方が多かったようで、店舗で販売を開始したところ約5万円の椅子が飛ぶように売れました。

松本:やっぱり体験する、ということはすごく大事だと感じます。おそらく、店内に商品を置いていてもそこまで売れなかったのではないかと思います。ウッドデッキも空間として価値があるスペースになったから、このまま持って帰り、別荘でも体験したいと思った方が多かったのだと思いますね。
お客様への提案の仕方で、お客様から見たものの価値が大きく変わるんだなということを実感した事例でした。

Nychair X(ニーチェアエックス)


土門:あと、サングラスでよく売れている商品があります。いい施設をつくるとそこに集うお客様がたくさんいらっしゃいます。人が集まると、軽井沢で活動されている方の中から「私たちの作品や商品をぜひ取り扱ってほしい」と言ってくださる方が出てきます。

そのサングラスは、「Karuizawa Commongrounds」を見に来た方が、たまたまスウェーデンからサングラスを輸入されたばかりで、これから日本でマーケティングをしてプロモーション活動を行うタイミングだったので、「一緒にやりたい」とお声がけをいただきました。
約25,000円のサングラスがこのお店で売れるのか不安な部分もあったのですが、販売を開始したらこちらも飛ぶように売れました。

――すごいですね!どのように販売したのですか?

土門:店舗の入り口に入ってすぐのところに、高級感のある平台を作り、素材の良さやレンズの良さをスタッフが説明できる環境を整えて販売しました。
軽井沢という街は、本当にいいものが売れる店だと感じました。お客様はもちろん価格も見ますが、本当に良いものにきちんとお金を払うお客様が多いです。

松本:私たちが逆に「一緒にやりませんか?」と声をかけたところもあります。軽井沢ならではのお土産が乏しく、『おやき』や『カヌレ』など、実店舗を持たない方々の軽井沢や長野の食材にこだわり丁寧に作られた商品を取り扱っています。私たちが実際に食べて美味しい!誰かに食べさせたい!と思ったものを、お客様にもぜひ知って欲しいので、先ほどのサングラスと同様に実店舗だからこその販売窓口となれるような提案を行っています。

また、カヌレの横に置いていた紅茶ブランドの商品との相関性が良いことをお伝えし、一緒に新たな商品を企画するような流れも生まれました。商品が横に並んでいるだけにしか見えないところにも、そのような横の繋がりができ、また新しい取り組みに進化していくというのは、取り扱わせていただく商品にこだわっている成果かなと感じます。

――新たなブランドや商品を見つけ出すために、普段どのように動かれているのでしょうか?

土門:私が「代官山 蔦屋書店」や「奈良 蔦屋書店」で培ってきた経験から、この企業様と一緒にお客様に提案すると、お客様が喜んでくれて、しっかり売り上げにも繋がるとわかっている商品があります。オープンのタイミングではそういった商品を並べてみます。その結果、良い空間ができ、良い空間にはたくさんの人が集まり、先程のようなおやきやカヌレ、サングラス等の新たなブランドやメーカーとの取り組みが生まれます。

また、いろんなお店を見て、興味を持った商品は自分で試してみる。その中からいいなと思ったものだけをセレクトすることが多いです。サングラスも、どんな特徴があるのかをきちんとお伺いし、25,000円の価値があることを自身で感じたから販売する決断をしました。これまで蓄積してきた経験と、コミュニティでのつながりが新たなブランドや商品を発掘する土壌になっています。

ガラスペンのSOURIRE(スーリール)は、代官山 蔦屋書店でもポップアップを行った商品。

地域のコミュニティ・ハブ、Karuizawa Commongroundsの取り組み

――「Karuizawa Commongrounds」では、再生可能エネルギーを導入するなど環境に配慮した取り組みを行っていますが、他の店舗との違いを感じることはありますか?

松本:「Karuizawa Commongrounds」では、脱炭素社会を目指した持続可能な再生エネルギーの活用を実現するため、太陽光発電にも取り組んでいます。今後は新たな提案として蓄電池の代わりにEVカーに電力を蓄え、コミュニティ内でエネルギーをシェアする取り組みなども決まっています。

また、イートンハウス様とは、一緒に作っている畑のお世話を子どもたちに手伝ってもらったり、飲食店から出てくるゴミをコンポストで堆肥化し、再利用するといった食の循環モデルの取り組みを行っています。敷地内の施設や隣接地が同じテーマで繋がっているというのが「Karuizawa Commongrounds」の特徴かなと思います。

――軽井沢のコミュニティ・ハブになるというテーマで今回の施設をオープンされましたが、地域にどのような影響があったか体感されていることはありますか?

土門:コミュニティ・ハブとして集える場所ができたことに、地元の方々はとても喜んでくださっています。また、観光客の方も遊びに来てくださり、とても理想的な形で取り組みが進んでいるのかなという気がしますね。

松本:書店は「ちょっとふらっと遊びに来てみたわ」というような、家が近く、ワンちゃんと散歩に来てくださるような方が多いことが一番嬉しいなと思っています。火曜日が店休日なのですが、店休日でも結構人が来られるのです。むしろ静かな時を狙ってワンちゃんと一緒にゆっくり遊んだり、子どもさんと一緒にゆっくり過ごしたり、お客様に自由にこの空間を楽しんでもらえていてとても嬉しいですね。

――今後「Karuizawa Commongrounds」でチャレンジしていきたいことはありますか?

土門:お客様が来店する理由をしっかり作っていくということが大事で、そこにチャレンジしていきたいと思っています。

お客様が来るってどういうことかというと、やっぱり「そこに行ったら楽しいことがある」ということが必要です。そのためには商品はもちろん、イベントや空間づくり、良質なコンテンツを持続可能な形で集約していくことが、大きなミッションであることは変わらないのだろうなと思います。

また、もう一つ、地域のコミュニティ・ハブとして施設を作っていきたいというミッションがあるので、もっと地元で活動されている方といろんなチャレンジをしてみたいなと思っています。ここで生まれた企画を、全国の私たちの拠点へ展開する等できたら良いと思います。


松本:地元の方というところで考えると、その人が「また次に来たくなる」ためにはどうすれば良いかをずっと考えています。「食物販でこういうカヌレを買いました」とお客様に言われたら、「これもおすすめですよ!」とフランクに返せる環境があるので、お客様がいつも変化を感じられ、毎回新たな発見ができるようにお店づくりをしていきたいと考えています。

また、継続的にお客様とコミュニケーションを取り、より使い勝手がよく、お客様と共に作りあげる施設にしたいなと思っております。