※この記事は、2021年3月時点の情報を掲載しています。
企画会社CCCがこれまで手がけてきた企画の数々。
そんな一つひとつの企画の裏側に隠された「一人のアイデアがやがて事業へと成長するまでのストーリー」に光を当て、お伝えする「#キカクノキッカケ」。
今回は、Tポイントが行ってきた復興支援活動「Tカード提示で東北の子どもたちに笑顔を」プロジェクト、「Reborn-Art Festival×Tカード」プロジェクトを企画した瀧田さんのインタビューを、21卒内定者がお届けします!
今回のキカク人
瀧田 希さん
2002年、CCCに入社。マーケティング部門のプランナー職、Tポイント宣伝販促部の責任者を経て、現在はCCCマーケティング/Tポイント・ジャパンでブランド戦略業務に従事。
「Tカード提示で東北の子どもたちに笑顔を」プロジェクト
――どんなプロジェクトなのでしょうか。
2011年の東日本大震災で失われた「子どもたちの居場所」をつくるために児童館・遊び場を建てようというプロジェクトです。スタート時にはお客さまに店頭でTカードを提示していただき、そこでお客さまが貯められた総ポイント数の1%相当をCCCが拠出し、児童館建築費用に回す、コーズ・リレーテッド・マーケティングの取り組みで、2011年の6月から東北を除く全国の地域でキャンペーンを行いました。
「Tカード提示で東北の子どもたちに笑顔を」についてはこちらから
Tカード提示で東北の子どもたちに笑顔を|Tサイト[Tポイント/Tカード]
「なんとか力になりたい」
――復興支援活動としてTポイントが「子どもたちの居場所づくり」に着手した経緯について教えてください。
震災当時、私はTポイントの宣伝販促部で責任者をしていました。その頃、世の中の宣伝販促が全てストップしていて、Tポイントももちろん同じでした。だけどTポイントでは企業活動をどこかのタイミングでリスタートして経済を回していくべきだと思っていました。TSUTAYAやTポイントの加盟企業のお店も東北で大きな被害を受けていて、そこで働いている東北の人たちも打撃を受けている中、なんとか力になりたいという思いがありました。そこから東北のためになって、生活者が参加できて、社会全体の経済を回すためにもなるようなコーズ・リレーテッド・マーケティングの取り組みができないかと考え始めました。
東北のために具体的に何をすべきなのかを知るために、4月中旬にはチームで東北に向かっていました。現地でヒアリングをしている中で、南三陸の町長から子どもの遊び場がないことが課題だと聞きました。遊び場がなければ、子どもたちの居場所がないだけでなく、これまで子どもを預けて働きに出ていた親御さんが働きに出られなくなってしまうんです。さらに、子どもや親御さんを囲むコミュニティも分断されてしまいます。
ヒアリングを重ねていろいろ考えた結果、児童館を作ろうと思いました。児童館を作れば、子どもの居場所ができ、地域の人たちのコミュニティも復活するし、そうしたら親御さんも安心して働くことができる。みんなが笑顔になれるんじゃないか、児童館ができることで良い循環を作れるのではないかと思いました。建築のことなんて全然分からなかったので、その時は時は作ることができるか分かりませんでしたが、作ることを決めました。こういうことはいろいろ考えていたら何もできないので、やるって決めてからどうするかを考えましたね(笑)。
――南三陸からはじまった児童館ですが、その後どのように各地へ輪を広げていったのでしょうか。
まず最初に作った宮城県南三陸の児童館ですが、2011年9月にはもう竣工していたんです。高台にあった小学校の校庭に仮設の児童館を建てました。資材は再利用できるものを使いたいという強い思いがあり、コンテナを使うことにしました。NPOを通じて知ることができた業者さんにコンテナを運んでいただいたり、地元の建築会社さんに建設をお手伝いしていただきました。その後、各地でお話をしている中で、岩手県釜石市からもお声がけいただき、同じく児童館を作りました。
さらにそこから、プロジェクトメンバーに建築家の伊東豊雄さんをはじめ多くの建築家の方に参加いただくことになり、宮城県東松島市に仮設の、福島県相馬市と南相馬市に常設の遊び場を作りました。当時、伊東さんも建築家として東北で復興支援活動をされていました。ある日、その様子を伝えるドキュメンタリー番組を見かけたんですが、そこで「みんなの家」という活動を知りました。実は、Tポイントには「みんなのポイントTポイント」というブランドスローガンがあり、人と人、人と社会をつなぎたいという想いがあります。最初に作った2軒の児童館の名前も「みんなの児童館」でした。伊東さんの活動や想いに強く共感し、お手紙を送ってご相談させていただいた結果、参画いただけることになりました。
「子どもたちの未来につながることをしたい」
――2017年には石巻で「Reborn-Art Festival×Tカード」も立ち上げられています。
これも児童館や遊び場を作る活動と繋がっています。震災から5年経って、東北の子どもたち、親御さんたちのニーズって何なんだろうと思い、改めて東北3県をヒアリングして回ったんですね。その時に、遊び場が必要だという声ももちろんありましたが、ハードではなく子どもたちの未来につながるようなソフトの充実を望む声が多く挙がりました。そこから子どもたちのソフトの支援をやろうと決めました。“子どもたちが知らなかったことを知る、未来につながる何かを得る”、をコンセプトに新しいプロジェクトを始めました。そこで、アートを通じてそういうことができたらいいなと思い、“Reborn-Art Festival”とコラボレーションをして、子どもたちも一緒に参加できる企画として、子どもたちが自ら考え制作したアート作品を展示する取り組みを実施しました。
「Reborn-Art Festival x Tカード」についてはこちらから
Reborn-Art Festival × Tカード|Tサイト[Tポイント/Tカード]
「社会のためになにかし続けたい」
――今後の瀧田さんのビジョンを聞かせてください。
私が関わっているTポイント/Tカードの事業は、会員基盤やビッグデータを利活用して、主にBtoBでビジネスをさせていただいています。これからはそういったCCCのインフラや資産をもっと社会に還元し、社会課題を解決したり、社会価値をつくっていくようなことを考えていきたいと思っています。本当は、事業のど真ん中で社会課題を解決していくことが、未来のCCCの事業に繋がっていくのかなと思います。例えば、いま世界はSDGsという一つのゴールに向かっています。2030年までに世界で達成しなければならないゴールがあるので、事業のど真ん中でその目標を目指せるようなことに関われないかなと考えています。事業で社会課題を解決していきたい。CCCがそんな企業になっていければいいなと思っています。