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事業責任者に聞いてみた ―マーケティングカンパニー 副社長執行役員 田代 誠―

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※この記事は2021年時点に書かれたものです。

CCCの事業責任者にインタビューをする「#事業責任者に聞いてみた」。

今回は、マーケティングカンパニー 副社長執行役員の田代さんのインタビューをお届けします!

今回の事業責任者

田代 誠 さん

1997年カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下、CCC)入社。店舗経験を経て、社長室配属。FCオーナー会の事務局運営担当。2000年CCCを退職。2001年ネット系マーケティングリサーチ会社入社。営業、運用、経営企画、海外事業、人事などの執行役員、子会社役員を経験。2007年マーケティングコンサルティング会社イデア創業。2009年CCC復帰。その後、人事部長などを経て、現職はマーケティングカンパニー副社長執行役員。

CCCの歴史

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――マーケティング事業の変革を教えてください。

CCCが1983年の創業以来進めてきたTSUTAYA事業は、レンタルという形態の特性上、お客さまに会員証を作っていただき、個人情報をお預かりしてきましたが、そのデータベースを集めて保管することを生業とする株式会社ADMS(アダムス)というグループ会社も、当時CCCは経営していました。

その後2000年頃には、約2,000万人の会員様にご利用いただいていましたが、会員証が店舗ごとにバラバラであることが課題でした。そんなバラバラのTSUTAYAの会員証を共通化するだけでなく、さらにもう一歩踏み込んで、TSUTAYA以外のあらゆるお店のポイントカードも1枚に集約できないか、その結果もっとお客さまの利便性が高まり、たくさん使ってもらうことで、より多くのデータを集めることができないか。そんな構想を進めるべく、当時海外にしか事例のなかった「共通ポイント」というビジネスモデルを日本に持ってこようと、プロジェクトが始まりました。

海外の事例を調べていくと、「日常的」に「大量」のポイントが貯まるという点が、大事な要素になっていることが分かりました。比較的高い金額を使うお店を考えていくと、ガソリンスタンドや航空会社、日常的に使うということではコンビニエンスストアが思い当たり、それらの企業様と共通のカードでポイント事業を一緒に行い、相互送客をしようとTポイント事業が始まりました。

その後、より多くのお客さまに使っていただくために、Tポイントを使えて貯めることができるお店、「アライアンス企業」を広げていくフェーズになりました。当初は、競合に参入されても影響をできるだけ抑えられるという理由から、生活消費ジャンル別で各業界のNo.1企業様と契約していくことをコンセプトとしていました。さらに、1業種につき1社としか契約を結ばないというルールも設けていました。しかしその後、共通ポイントが世の中に広まっていくに従い、お客さまの利便性を鑑みて、現在の共通マルチポイントの形態になっていきました。

Tポイントの利用が増えるに伴い、データベースマーケティングの事業は少しずつ形を変えながら進化していきました。元々はTSUTAYAだけのデータでしたが、様々なアライアンス企業様のデータとも連携し、そのデータを分析してアライアンス企業様をコンサルティングしたり、メーカー様や代理店様に対してもメディアを販売して課題解決のお手伝いをしたりといった、現在のCCCマーケティングの仕事になっていきました。

マーケティング事業の取り組み

――マーケティング業界におけるCCCの価値や強みは何ですか?

マーケティング業界と聞いて一番初めに思いつくのは総合代理店だと思います。マーケティング=広告となる人も多いと思っていて、要はメディアを売っている会社です。我々CCCは、メディアを売るにしても、全てにおいてデータを起点にするということがビジネスの根幹にあります。

マーケティングの起点は、広告でもリサーチでも「ユーザーを知ること」と、「ユーザーに伝えること」だと思います。7,000万のユーザーと直接繋がっていて、かつその人たちの購買データを持っているということが、どこにもない価値であり、他社との一番の違いだと思います。その武器があるからこそCCCはデータを使ったコンサルもできるし、メディアも売れるんです。

――そんな強みを生かしながら現在取り組んでいることを教えください。

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マーケティングカンパニーでは、ミッションに「UNIQUE DATA, SMALL HAPPY.」を掲げており、「個人のライフスタイル」とそれを取り巻く「社会」を繋ぎ、ひとりひとりの毎日に小さな幸せを作ることを使命としています。それを叶えるべく、データを起点にしたビジネスを多岐に渡ってやっているのですが、今日はその中の5つをお話しますね。

1つめは、アライアンス企業様の本業支援です。共通ポイントビジネスは多くの企業が参入し、共通ポイントを利用した相互送客はあらゆる企業にとって販促手段として当たり前になったことで、他社と差別化できるものではなくなりました。そこで我々は、これからはポイントを使う・貯めるという部分での送客手段だけではなく、ポイントから集まるデータを使うことで、アライアンス企業様の本業をより深いコンサルティングによってサポートすることに注力していきます。これは、あらゆるアライアンス企業様の単品ごとの詳細なデータを、Tカードを通じて集められているからであり、他社の共通ポイントではできないことです。

2つめは、スーパーシティ構想です。CCCが現在スーパーシティ構想として携わっているのは、政府、事業者、福島県会津若松市が一緒になって、データやAIを活用して未来都市を作るプロジェクトです。そのプロジェクトに参画することは、CCCにとって2つの価値があると思います。お客さまに対して「ポイント」ではない新しいユーザー価値を作り、ポイント以外の部分で生活を豊かにすること。さらにこのプロジェクトが成功すれば、高齢化、ヘルスケア、防災といった共通の課題を抱える他の地方都市にも水平展開できる可能性が高い。地域における新しいプラットフォームビジネスになる可能性も感じています。

3つめは、ファイナンス事業です。元々はTカードにクレジットカード機能を搭載することで、ポイントだけでない価値をつけることから始まりました。一つのIDに色んなファイナンスサービスを付けていくことで証券口座、銀行口座も作れて、ポイントも貯まる、そんなサービスに進化します。

4つめは、CCCマーケティング総合研究所です。CCCのデータには世の中の課題を解決する力があるということを、広く発信できるような取り組みを行っています。たとえば行政機関絡みのお仕事を請け負うなど、Tのデータの社会的なバリューを上げるような取り組みです。

そして5つめは、マーケティングソリューション事業です。この事業では、Tポイントに加盟していないメーカー様や広告代理店様に、CCCのメディアをスポットで販売していました。今後はそれを、継続的なものにしていき、より精度の高いサービスが提供できるビジネスモデルに変えていこうとしています。

嫌いだったけど一番勉強になった店舗の仕事

――田代さんが働いてきた中で特に印象に残っていることはありますか?

僕は新卒でCCCに入っていますが、一度会社を辞めて、別の会社に行ったり、自分で会社を立ち上げたりした後、縁あってCCCに戻ってきています。またCCCでは、マーケティング事業の仕事だけでなく、経歴の半分以上が人事の仕事でした。そういった経歴を振り返ってみて、自分の原点になっている仕事がなんだろうと考えると、それは「店舗」の仕事だったなと思います。店舗には新卒で入ってから3年間くらい携わったのですが、当時は店舗なんてやりたくないって思っていたんですよね(苦笑)。でも今となっては、店舗で働けたのが良かったと本当に思っています。

店舗の仕事ってオペレーションではなく、経営なんです。利益を出すための戦略を考え、商品の選定・発注から人の採用・マネジメント、経費のコントロールなど、ヒト・モノ・カネの管理を2年目までにやって、そこで経営の視点を学ぶことができたと思います。その経験を得たからこそ、CCCから別の会社に転職した後、独立してマーケティングコンサル会社を立ち上げることにも繋がったんだと思います。

――会社を一度辞めてまた戻ってきてからは、どんな風にCCCを見ていたのでしょうか?

自分がCCCを辞めた時にはほとんどTSUTAYAの会社だったのが、戻ってきた頃にはマーケティング事業も進んでいて、まったく違う会社になっていました。CCCを辞めた後はマーケティングのキャリアを歩んでいたため、CCCに戻ってきて自分はマーケティングの仕事でやっていくものだと思っていたのですが、ある時CCCという組織のダメなところを社長に発信したら、「じゃあお前が人事をやれ」と言われて、人事の仕事をすることになりました。

その後も色んなことを発信して、そのたびに別の部門に行ったり、また人事に戻ってきたり。そんなことを経て、今の仕事に就いています。なので、僕のキャリアはみんなと同じでは全然ないのですが、1つ言えることとしては、CCCは店舗とデータがあって、その中で行き来したり、両足をかけたりしながら色んな仕事が会社の中でできるということ。自分も事業をやったり、スタッフ部門を見たり、経営をしたりと、色んな角度で会社を見てこれましたし、色んな武器を身につけることができました。マーケティング専門のプロには叶わないけど、自分は人事もマーケティングもある程度できる。これは自分にしかない強みと言えるんじゃないかなと考えています。こんなキャリアを含めて、CCCはしっかりと意志を持てば、働き方をフレキシブルに変えていけるし、それが自分が今もCCCで働き続けている理由の一つかもしれません。

――田代さんが大切にしている価値観を教えてください。

一緒に取り組む人、お客さまや社員が楽しくなるようにしたいなと思います。あとは、自分って言うよりチームでやることを大事にしたいです。大きな規模の会社になると1人の能力には限界があるので。若い頃は、自分でやっていければいいやって思っていた時もありましたが(笑)。でもそれこそお店で働いていた頃、スタッフさんと一緒になってお客さまに対峙する中で、チームで働くことの重要性に気付かせてもらいました。

大きな夢より、日々の積み重ね

――田代さんの今描いている夢はありますか?

この会社を成長させたい、という気持ちは強いかもしれないです。これまでみんなで長年かけて作ってきたたくさんの知的資本(アセット)があるから、それを活かしてもっと大きくしていきたいと思っています。でも正直なところ、あんまり大きな夢とか目標はないんですよね。「夢しか実現しない」と創業者は言ってるんだけど、自分は逆で(笑)。日々、目の前のことをしっかりと頑張って、少しずつ良くなっていったらいいなと思っています。「積み重ね」を大事にしています。