CCCの「企画」「人」「働き方」を伝えるメディア

異国の地で、 一からブランド価値を創造する。

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※この記事は2020年時点に書かれたものです。

プロフィール

橋本 龍之介さん 臺灣蔦屋株式会社 総経理 2005年入社

2005年新卒入社。信越・東北エリアにてTSUTAYAフランチャイズ(以下FC)店舗の音楽レンタルバイヤー、スーパーバイザーとして勤務。その後、九州エリアでスーパーバイザー、支店長、新店開発のユニットリーダーを務めた後、臺灣蔦屋(株)で資深経理(事業部長)を1年務め、現在は総経理(副社長)として勤務している。

大塚 一馬さん 臺灣蔦屋株式会社 経理 2001年入社

2001年新卒入社。入社後、7年間は直営店舗でCD・本の販売などを担当。その後、4年間信越・関東エリアでFC店舗のスーパーバイザーとして勤務した後、2年間大型直営店の店長を担い、そこでの収益改善の実績と経験を活かし、東海・北関東エリアにて4年間支店長を務める。現在は臺灣蔦屋(株)に所属。

異国の地でTSUTAYA BOOKSTORE/蔦屋書店を広めていく。

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橋本:TSUTAYA BOOKSTOREを初めて台湾に出店してから3年が経ち、現在6店舗を展開しています。いずれも僕たちの直営店舗ではなく、現地の企業様にFC加盟していただき、運営を担ってもらっています。そんな台湾でTBS/蔦屋書店の店舗を拡大していくことが僕たちのミッションです。
日々の仕事は、既存FC店舗へのコンサルティング、新規加盟企業への営業活動、新規物件開発、出店プランニング、取り扱い商品の商談、キャンペーン企画、イベント営業と多岐にわたります。現地には、僕たち2人に加え、現地で採用したスタッフ5名がいます。上記活動は、日本においては各部署で分業していましたが、ここでは7名ですべてをやっていく必要があります。役割分担ももちろんですが、それ以上にすべてを自分たちでやり切る覚悟が求められますし、そこを自分たちの意志でまとめていくことに大きなやりがいを感じながら働いています。

大塚:言葉の問題はないのか?とよく聞かれますが、もちろん大変です(笑)。週3回、朝仕事前に2人で中国語のレッスンを受講しています。とある1日のスケジュールを挙げると、朝の中国語レッスン後、午前中は店舗の実績を確認し仮説を立て、午後はお店に足を運びその仮説と売場を照らし合わせた上で、今後のアクションについて店舗スタッフと話をします。その後は、店舗に導入する商品についてのメーカーさんとの商談やイベントの打合せなどを行ったりしています。
出店して終わりではなく、OPENしたお店の価値を上げ、TSUTAYA BOOKSTOREのブランド価値を磨いていくことも僕たちの大事な使命です。

海外勤務ならではの日常。

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橋本:海外勤務においては、やはりコミュニケーションが一番難しいですね。日々中国語に触れることである程度の意思疎通はできるようになってきましたが、やはりどうしても通訳を介して想いを伝えることもまだまだ多いです。そんな時、日本人特有の遠回しな表現で通訳に伝えてしまうと、先方にまったく違う受け取り方をされてしまうこともある。なので、まずは通訳に対して簡潔に、直接的な表現で伝えることを常に意識しています。
しっかりと中国語で伝える力、聞き取る力を上げていかないといけないと日々思いますね。一方で、こちらが一生懸命中国語を話そうとすると、それがカタコトであってもしっかりと聞いてくれます。相手とコミュニケーションするときに本当に大切なのは、日本でも台湾でも変わらず、相手のためになんとかしたいという気持ちで、それを真摯に伝えようとする姿勢なんだな、と感じています。

大塚:私生活に関しては、大きなストレスを感じることなく日々過ごすことができています。こちらに2年半住んで、相変わらず八角や臭豆腐は苦手ですが(笑)、食事についてはほとんど慣れました。また、街は日本と同じくらい安全で、夜も歩けますし、休日は家族で公園によく行っています。日本人のコミュニティも多く、各都道府県の県人会も台湾にはあります。

台湾の人に愛されるお店を作り、ファンになってもらう。

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大塚:僕たちが作っているお店は1つ1つ異なっています。台湾ももちろん地域ごとに特徴があり、出店の際まずはそこに住む人々を知ることから始めています。台湾人スタッフの話を聞いたり、現地でアンケートを取ったり、地域をくまなく歩いてみたり、しっかりとマーケティングをしてその地域を十分に理解した上で、お店の空間デザインや、商品展開を変えていっているんです。そして出店を重ねていく中で、トライアンドエラーを繰り返しています。僕たちは、日本で成功した事例を横展開するだけではなく、現地ならではのものも取り入れながらお店を作っていくことで、台湾の人々の生活を豊かにしたいと思っています。

橋本:日本での店舗づくりと大きく異なる点は、台湾では日本のように本が売れない、ということです。台湾の書籍市場は日本のたった1/16程度しかありません。そこで台湾では、本は集客要素に特化し、CAFÉ で利益を出す、という出店戦略を取っています。

大塚:TSUTAYA BOOKSTOREは台湾に6店舗で、認知もまだまだ低い現状です。しかし認知されていないからこそ、実際に来てもらった時に日本で出店した時以上に感動してくださる方も多く、そういう方々がSNSに店舗の写真をたくさん投稿してくださるんです。こうやってお客さまがTBSの価値を広げていってくれているのは、本当にありがたいですね。台湾の文化、各地域の特色に合わせた店舗づくりもしながら、一方で僕たちの強み、BOOK&CAFÉという業態は全店に継承しています。そこが台湾では他にない顧客価値となり、ファンを作ることに繋がっていると思います。

CCCの価値観を仲間と同期させる。

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橋本:もう一つ大事にしていることがあります。それは、台湾で採用した現地スタッフやFCに加盟いただいた企業様にCCCの文化や価値観、店舗づくりの経験を伝えていくことです。TSUTAYAは単なるモノを売っているお店ではなく、商品やその空間を通じて「生活提案」をする場です。言語も文化も違う中で、いかにそのことを理解してもらえるか。僕たちが伝えたものが、現地スタッフ、FC企業の基準になります。価値観という目に見えないものだからこそ、最大限の熱意をもって、相手に浸透するまで伝えきれるよう日々取り組んでいます。
※2020年12月末台湾で撮影

わたしが創る未来のライフスタイル

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大塚:海外で売れる企画を創り、実現したいです。日本では名前が知られているTSUTAYAも海外ではまだまだ知られていません。僕らは企画会社として、今までのノウハウを活かしながら海外でもその地域のお客さまに喜ばれる新たな企画を生み出していきたいと思います。台湾で創った企画を、日本で展開できたら最高ですね。

橋本:今は、台湾という異国の地で一からTSUTAYAのブランド価値を創り上げていくことがとても楽しいです。僕たちの企画を通じて、あらゆる地域を活性化させていきたいと考えています。今はリアル店舗の在り方が問われています。これからの書店はどうあるべきか。どうすればお客さまにライフスタイルを提案し続けていけるか。大きな転換期に、パッケージとして新たな顧客価値の創造が求められています。同時に、どんなに小さなものでも顧客価値が生まれるものは一つ一つ丁寧に企画として形にしていく。そういった大小の企画を積み重ねていくことが、リアル店舗の価値を上げていくことだと考えています。