※この記事は、2020年11月時点の情報を掲載しています。
企画会社CCCがこれまで手がけてきた企画の数々。
そんな一つひとつの企画の裏側に隠された、「一人のアイデアがやがて事業へと成長するまでのストーリー」に光を当て、お伝えする「#キカクノキッカケ」。
今回は、一見近寄り難いイメージのある人文書を題材にしたイベント「代官山人文カフェ」を生み出した宮台さんのインタビューを、21卒内定者がお届けします!
- 今回のキカク人
- 本に触ることで、自分のものになるような気がした
- 対話からはじまる、本との新しい出会いのカタチ
- そうして生まれたキカク、「代官山人文カフェ」
- 代官山 蔦屋書店だからこそ実現できる体験づくり
- 価値観を共有しているからこそ、お互いを支え合う関係になれる
今回のキカク人
宮台 由美子 さん
大学卒業後、大手書店に就職。2016年より現在まで、代官山 蔦屋書店でコンシェルジュとして人文書を担当し、選書やイベント企画業務に従事している。
書店員として長年人文書を担当してきた宮台さんが、もっと多くの人々に人文書の魅力を伝えたいとの想いから生み出した企画「代官山人文カフェ」。企画を生み出した宮台さんご自身のこと、蔦屋書店でイベントをする意義、そしてCCCでメンバーと一緒に企画する魅力について、詳しくお伺いしました。
■次回12/18開催の「代官山人文カフェ」はこちら↓
本に触ることで、自分のものになるような気がした
ーー大手書店就職から現在の蔦屋書店に至るまで、長年に渡って書店員としてお仕事をされていますが、やはり元から本は好きだったのでしょうか。
かなり遡ることになるんですが、小学生の頃、暇で毎日図書館に行って毎回10冊借りてました。図書館の本を端から読んでみようと思って…。端から読んでいけば全部読めるかもしれないって思ったんですよね(笑) 。
ただ、当時の私は、片っ端から本を読むと言うよりも、棚整理みたいな感じで、本を開いて最後までページをめくっては本棚にしまって、を繰り返していたんです。本棚の本を全て触ることで、自分のものになるような感じがしたのかな... いまの仕事でも、端から端まで棚に並ぶ本、自分が仕入れた本を1冊ずつ触るのが好きなんですが、それは小学生の頃から変わらないですね。
そんな小学生時代から、「図書館の人になろうかな...」とぼんやり思っていたので、大学で司書の資格を取得できる授業を取りました。でも、いざ就活で図書館司書の求人を探すとあまり募集がなくて、どうしようか困っていました。そんな時、ふと新聞に大手書店の求人を見つけて、「本屋さんもいいかもな」と思ったのがきっかけで応募してみたところ、ご縁があって書店員として就職することになりました。
対話からはじまる、本との新しい出会いのカタチ
ーー就職した書店を退職後、子育てを経て蔦屋書店のコンシェルジュとして再び書店員となった宮台さん。その後「代官山人文カフェ」はどのようにして生まれたのでしょうか。
前に勤めていた書店から今まで、一貫して私の担当は人文書なのですが、人文書と言うと哲学や思想といった専門的な内容の本が多くて、一般に近寄り難いイメージがあるかもしれません。でも、実は人文書も人々が身近に感じられる、面白い本だと私は考えています。小説が「読んで泣ける」みたいな読者の感情が動く本だとすれば、人文書には「こういう見方があったんだ!」という、新しい視点で世界を見る"メガネ"を手に入れられるような、そんなおもしろさがあると思うんです。
そんな人文書をいろいろな方に楽しんでいただけるよう、これまで蔦屋書店では著者のトークイベントを企画していました。そのイベントを開催する中で気付いたのは、参加されるお客さまの表情が一番明るくなるのは、著者と会話を交わす瞬間だということでした。
話を一方的に聞くイベントではなく、隣の人や著者ともっと言葉を交わす場になれば、お客様にもっとイベントを楽しんでいただけるのではないかと考えました。そこで、参加者の方が自分の考えを共有できる対話形式をコンセプトに、参加者が自由に語り合えるイベントを企画することにしました。
そうして生まれたキカク、「代官山人文カフェ」
新しい「モノの見方」に出会う。そんな人文書の魅力をより多くの人々に伝えるべく生まれた「代官山人文カフェ」。代官山 蔦屋書店で3ヶ月に1度開催されるこのイベントでは、一見近寄り難い人文書で扱われるテーマをもとに、著者と参加者が自由に語り合うことで、これまで自分になかった新しい視点や気付きを得る体験を提供する。
代官山 蔦屋書店だからこそ実現できる体験づくり
ーー近年、哲学をはじめ人文系ジャンルを題材とした多種多様なイベントが増えてきているように思いますが、それらとの比較で「代官山人文カフェ」がこだわっているポイントはありますか。
当初からこの企画には、代官山 蔦屋書店という独自の空間を活かしたイベントにするというコンセプトがありました。例えば、イベントの会場として使用している休憩スペースは、照明が仄暗く寛げるような空間になっています。このような空間でのイベントを通じて、このお店で時間を過ごす心地良さを感じてもらい、イベントに来ていただいたあとも、また来たいと思ってもらえるのではないかと考えています。
また、書店でイベントを開催することで、気軽に参加できる点も強みでしょうか。「代官山人文カフェ」は毎回初めて参加される方がいらっしゃるのですが、「普段使っているお店で開催するイベント」ということが安心感となって、参加の後押しになっているのかなと思います。
ただ、そんな「代官山人文カフェ」も、前回の第12回は新型コロナウイルスの影響を受けて初のオンライン開催となりました。もちろんオンラインの良さを知ることもできたのですが、それ以上に、実空間でイベントを行う良さをより鮮明に実感しました。本を手に取って買いたい、イベント終了後の余韻に浸りたいといった、リアルな空間でしか味わえない魅力はやはりありますね。今後は、そのようなリアルな空間の良さを活かしながら、オンラインを上手く導入していけるようなイベントの形を模索していきたいと考えています。
価値観を共有しているからこそ、お互いを支え合う関係になれる
ーー最後に、CCCでメンバーと一緒に企画をする魅力を教えてください。
前例がないことに対して「ダメ」と言うことが全くない会社だと思っていて。実際、「その考えは今までにないからダメです」のようなことは一回も言われたことがないですね。オンラインイベントを初めて開催したときには、いろんな仲間がアドバイスをくれたり、練習にも何度も付き合ってくれたりしました。配信本番のときには大勢集まってくれて、終了後は拍手で祝ってくれたりと、みんなが応援してくれました。
こんなにも周囲が積極的に助けてくれるのは、お店でも会社でもCCCにははっきりとしたコンセプトがあるからだと思うんですよね。みんなが同じ価値観を共有して、同じ方向を向いているからこそ、良いものを作り上げていこうという一体感があるし、お互いが積極的にアドバイスし合えるのではないかと思います。例えば、私がイベントを企画したときも、代官山 蔦屋書店らしくコーヒーを提供するためには、こんな机や椅子の配置がいいんじゃないかと仲間が提案してくれました。それぞれの立場は違っても、お店に対して同じ価値観を共有しているからこそ、お互いが支え合う関係になれるのではないかと思います。